2010年6月22日火曜日

ねじれはダメ、というお話

このところリギングに関する話題をたくさん書いたので、物置からレスキューツールなどを引っ張り出して遊んでみた読者もいるんじゃないかと思う。そこでちょっと思い出した小ネタを紹介しておくことにした。それは「リギングは捻れていてはいけない」ということ。リギングの捻れはトラブルの元、特に大きな力を必要とする作業では、ロープ(ケーブル)やスナッチブロックの破損にも繋がりかねないのだ。
スナッチブロックとロープ(ケーブル)は同一平面で動くものだが…
レスキューではダブルラインをよく使うけれども、その時にアンカーとレスキュー車(あるいはウインチ車)が違う高さに位置するという状況がよくある。このことがしばしばトラブルを起こす。下のイラストのように、基本的にスナッチブロックとロープは、アンカーとレスキュー車の高さが違っていても、テンションが加わると自然に同一平面上に整列する。もちろんこれはスナッチブロックが回転して向きを変えてくれるから。
問題はスナッチブロックが自由に向きを変えられない場合に起きる。スナッチブロックをスタック車の牽引ポイント(フックなど)に繋ぐにはシャックルを使うと思うが、そうするとスナッチブロックが自由に回転できる範囲というのは意外に狭いのだ。するとどうなるかというとイラストの左側の状態のように、ロープ(ケーブル)とスナッチブロックが強く干渉したまま牽引することになってしまう。これが摩擦でロープが切れたり、スナッチブロックを傷めたりする原因になる。


対策は簡単。スナッチブロックとスタック車のフックの間に「もう1個シャックルを入れる」だけ。これでスナッチブロックの動きは自由度を増し、ラインとの自然な整列が回復できる。ダブルくらいだと、さほど問題は大きくないのだが、困難な条件で複数のアンカーを使ったりする複雑なリギングになると、スナッチブロックとラインの整列には細心の注意を払わなくてはならない。リグを組んで(軽くテンションをかけてみて)スナッチブロックが捻れてる(ラインと整列していない)なと思ったら、シャックルを足してやることを思い出して欲しい。
ストラップ類にも捻れは大敵
トウストラップやエクステンションストラップは工夫次第で使い道の多いツールなので、ベテラン諸氏には愛用者も多い。その平らな形状はテンションを広く分散して優れた引っ張り強度を実現するもの。またロープよりも傷つきに強いことや、場合によっては巻き付けると強い摩擦支持力を持つ特性も役に立つ。そうした使い方については、色々書くべき内容が多いので改めて紹介するとして、今回は捻れにまつわる取り扱いのノウハウをいくつか。
ストラップも捻れていてはダメなのだ。平らなストラップを捻ってみれば判るように、捻ると全長が短くなる。これはストラップの帯状の端が螺旋状になることで、真ん中あたりよりも強いテンションが掛かってしまうということを意味する。だから捻れたままレスキューに使うと、力は端の方に集中してしまうので、均一に力が加わる場合よりもずっと引っ張り強度の限界が低くなる。また、いつもそんな使い方を続けると端から糸が切れていってすぐに傷んでしまう。
だからストラップは捻れが無いように平らに伸ばして使う。ストラップは写真のようにコイルして収納するのが理想だ。コイルすると帯のほどんどの面は紫外線に晒されないので、寿命も長くなる。コイル収納のもうひとつのメリットは、使用時に捻れることなく展開できるということ。消防士がホースを伸ばす時と同じ要領で、巻かれたストラップのコイルを「転がす」方法で展開すれば、いつも捻れ知らずで使える。せっかくストラップをコイルして収納していても、展開する段で、転がすのを忘れてしまうと「捻れだらけ」で展開してしまうことになる。

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