第1回ではアーティキュレーション剛性が低いほど、低速クロスカントリーでの地形追従性能が高まるということを書いた。ただし普通の4輪駆動車は自由に捻れる回転軸で繋がれたシャシーを持たないので、アーティキュレーション剛性ゼロというわけにはいかない。そこで今回はソリッドな(そりゃ少しは捻れるのだけれど)フレームにサスペンションという一般的な組み合わせでは、アーティキュレーション特性はどうなるのか?という話をしよう。
サスの話ではよく1G状態という表現が使われる。これはサスペンションに車重以外の力が加わっていないこと、つまりクルマが動いていない(静止)状態を意味する。だからクロカンでの路面追従性能の指標ともいえる1Gでのアーティキュレーションでは、クルマの自重だけによってサスペンションがストロークしている。具体的には、平らな路面に対角線のホイールが落ち込む穴(対角線が乗り上げる盛り土でもいい)を用意し、対角線上のホイールが浮き上がる寸前まで進んだような状態のときが1Gでのアーティキュレーション限界ということになる。