2010年7月28日水曜日

サスペンションを考える 第2回(1G接地の真実)


1回ではアーティキュレーション剛性が低いほど、低速クロスカントリーでの地形追従性能が高まるということを書いた。ただし普通の4輪駆動車は自由に捻れる回転軸で繋がれたシャシーを持たないので、アーティキュレーション剛性ゼロというわけにはいかない。そこで今回はソリッドな(そりゃ少しは捻れるのだけれど)フレームにサスペンションという一般的な組み合わせでは、アーティキュレーション特性はどうなるのか?という話をしよう。
サスの話ではよく1G状態という表現が使われる。これはサスペンションに車重以外の力が加わっていないこと、つまりクルマが動いていない(静止)状態を意味する。だからクロカンでの路面追従性能の指標ともいえる1Gでのアーティキュレーションでは、クルマの自重だけによってサスペンションがストロークしている。具体的には、平らな路面に対角線のホイールが落ち込む穴(対角線が乗り上げる盛り土でもいい)を用意し、対角線上のホイールが浮き上がる寸前まで進んだような状態のときが1Gでのアーティキュレーション限界ということになる。

2010年7月26日月曜日

OTC2010@インプス、無事終了しました


当ブログでも開催を告知していたOTC2010@インプスが無事終了しました。参加していただいた皆様、お疲れ様でした。皆さんの熱心なまなざしを感じつつ、講師の私も楽しく過ごさせていただきました。また今回のOTCを主催していただいたインプスさんの大奮闘のおかげで、OTC史上最も快適な環境での座学となりました。関係者の皆さん、本当にありがとうございました。
受講時に熱心にメモをとっていただいた方が多かったようですので、当日講習に使用したスライドのPDFをダウンロードいただけるリンクを以下においてあります。ご自分のメモと照らし合わせつつ、復習などにご活用下さい。参加されなかった方にとっても「こんな内容だったのか」ということを知る手がかりにはなると思います。

Twitter Timeline of m_takehira (7月17日〜7月25日)



この1週間のツイートまとめです。

Sun, Jul 25
  • 23:38 @4x4IMPS OTC2010@インプスの主催、お疲れ様でした。この第5回がもっとも行き届いたイベントになったという印象です。お忙しい中、気配りの行き届いたオーガナイズ、本当にありがとうございました。  [in reply to 4x4IMPS]
  • 23:34 OTC2010@インプスにご参加いただいた皆様、お疲れ様でした。講習内容が皆様のオフロードライフに少しでもお役に立てば、と念じております。またのご参加をお待ちしております。
Thu, Jul 22
  • 22:03 @4x4IMPS OTC準備お疲れ様です。私の方も少しずつ準備を進めています。参加予定の皆様お楽しみに。  [in reply to 4x4IMPS]
  • 13:10 iPhone用Skypeアプリがアップデート。3Gコンパチブルに加え、IOS4のマルチタスク対応になったので、待ち受けが可能になった。それはいいとして、相変わらずSkypeはBluetoothに非対応。待てど暮らせどいっこうに対応しないねぇ。全くどうにかして欲しいね

2010年7月19日月曜日

とても重宝するポウチ(Maxpedition RollyPoly)


レスキューに使う道具って、持って歩くと重いですよね。手頃なアンカーポイントにスナッチブロックをかけようと思えば、シャックル1~2個とスナッチブロックを手に持って、ツリートランクプロテクターをたすき掛けにして、もう一方の手でワイヤー(シンセティックロープ)を引っ張っていかなくちゃならない。これは厄介だ。両手が塞がってちゃ、急勾配を登ったり藪こぎしたりしてアンカーポイントまで辿り着くのは大変だ。

2010年7月17日土曜日

サスペンションを考える 第1回(アーティキュレーション)


最近「サスペンションの記事を!」という希望が多くなったので、不定期連載で書いていくことにしました。4輪駆動車のサスペンションは、オフロードを走行するために、普通のオンロード車には見られない特別な設計方針が盛り込まれている。そのひとつがアーティキュレーション特性だ。第1回はまずこのアーティキュレーションの話から始めたい。
アーティキュレーションは、直訳すると「折れ曲がり」のことだが、オフロードの世界では「前後のアクスルが逆位相でストロークする状態」を指す用語。この特性は、昔は単にホイールストロークが長いか短いかという表現で語られていたが、オフロード走行力学的には、前後のアクスルが逆位相でストロークする時の特性(アーティキュレーション特性)が走破性に大きな影響を持つことから、特別な状態を指す言葉として使われるようになった。
アーティキュレーションは「アーティキュレーション剛性」という基準で評価される。アーティキュレーション剛性が高ければ、そのクルマのサスは小さなアーティキュレーションしか発揮できず、逆にアーティキュレーション剛性が低いと、より大きなアーティキュレーションが得られることになる。今回はまず、このアーティキュレーション特性が実際にどのような効果をもたらすのか?という話から始めたい。まずは論より証拠、究極のアーティキュレーション特性(アーティキュレーション剛性ゼロ)を持つオフロードカーの走行シーンを見て下さい。長いビデオクリップなので、要点だけ見たい方は最初の4分くらいをスキップして下さい。

Twitter Timeline of m_takehira(6月25日〜7月15日分)



ツイッターでは日常の出来事、気になるニュース、ちょっとしたTipsなどをつぶやいています。これらのツイートを見逃してしまった方のために、週イチ程度の頻度でツイートをまとめた記事を当ブログで紹介することにしました。この記事はページ右側にある「検索」からトピックを探すこともできますのでご利用下さい。今回は最初なので過去1ヶ月分をまとめてあります。
Thu, Jul 15
  • 16:25 @TIGERAUTO おおそうでしたか。25周年おめでとうございます。ますますのご発展をお祈りします。  [in reply to TIGERAUTO]
  • 11:45 ヤマハが電動スクーターEC-03を発表。税込25万2000円という価格は安いとは言えないが、よく頑張ったと評価できる。少なくとも少し電動スクーターの未来が開けたという感じがする。


Wed, Jul 14
  • 14:43 一票の格差に関するこのブログ記事http://bit.ly/brh4vwとても良くできている。本来マスメディアがちゃんとした報道をしていれば、こういう論調が前面に出るはず。法の下の平等こそが、我々の社会で最も重要なシステムのはず。
  • 14:34 参院選が終わった。選挙の度に思うのだが、「一票の格差」はいつになったら是正されるのだろう。われわれ都市生活者の一票は、最大で地方の1票の5分の1の価値しかないという異常事態はいつまで続くのか?http://bit.ly/brh4vw
  • 04:26 @shim89 ハイステア完成 <- 上手くできてますねぇ!  [in reply to shim89]

2010年7月12日月曜日

夏のアウトドアにBUFFはいかが?(Multi-functional Headwear)


今回は趣向を変えてオフロードで便利なアウトドアウエアのお話をしよう。BUFFは1992年にスペインで発明されたヘッドウエア、つまり被り物だ。海外ではとても人気があり、多くのアウトドアズマンが愛用している。BUFFは100%ポリエステルの伸縮性のあるファブリックで造られ、継ぎ目も縫い目もないチューブ状をしている。BUFFはマルチファンクショナル・ヘッドウエアといわれるだけあって実に多機能。具体的な使い方は、以下に解説の動画を置いたので、そちらを見て欲しい。

2010年7月7日水曜日

パワードトレーラー(PTO driven trailer)


パワードトレーラーは、4輪駆動車で牽引するトレーラーにも駆動力を持たせることによって、より大きな積載能力と6x6並の走破性を持たせるというアイデアで誕生した。その背景には60年代に各国で盛んに研究されたオフロード車両の走破性を高めるアーティキュレート・ドライブ・ヴィークル(関節車などと呼ばれる)の存在がある。アーティキュレート・ドライブはサスペンションのストローク限界の影響を受けずに、駆動輪が常時均等(に近い)接地圧に保たれる構造で、そのことによって極端な不整地でもホイールが浮くことなく駆動を伝達できる。
トレーラーのアクスルは、もともと構造的に牽引車との位置関係がいかに捻れようとも均等接地する。だからこのトレーラーのアクスルを駆動すれば、即アーティキュレート・ドライブが実現できるのだ。この点に目をつけて軍用にリアPTOで駆動するパワードトレーラーが開発された。以前に当ブログの記事「Land Rover - その古き良き時代を見る」にもランドローバーのパワードトレーラーが登場したが、今回は1969年製のVolvo Laplander L3314に装着されたボルボ純正のパワードトレーラーの動画を紹介したい。

2010年7月1日木曜日

カッティングブレーキ PART 2(小回り旋回の真相)

カッティングブレーキは、仕組みとしては単純に1輪に効くブレーキだから、誰に教わらなくても操作は簡単、曲がりたい方に効かせればいい。でも本当に効果的に使うには色々と工夫が必要なのだ。今回は代表的な3つの条件下でのテクニックについて書いてみようと思う。なお以下の解説は、現在一般的と思われるフロントにカッティングブレーキを装着、リアにLSDもしくはデフロックが入っているトライアルマシンを想定している。

いつも小回りターンが決まるとは限らない
タイトスポットでくるりと小回り旋回を決める、というのがカッティングブレーキの得意技だと思ってる人が多いと思う。でも現実はちょっと違う。たいていの人は「トランスファーを2WDにし、舵を大きく切り込み、イン側にカッティングブレーキを強くかけて、一気にパワーオン」という操作をするけど、これだと思ったとおりにはアクセルターンが決まらない。まあ狙ったラインに乗せられるのは、いいいところ5回に1回くらい。大抵はリアがその場で空転して潜ってしまってスライドが始まらなかったり、強アンダーステアを起こしてフロントが流れたり、かなりラインを外れてからテールスライドが始まるというような予想外のタイミングになったりする。これに悩む人は多いはず。