2010年12月19日日曜日

ワダチを抜けだすテクニック Sling assist

スリング・アシスト

クルマはスタックしていなくとも、深い轍から抜け出すのはやっかいだ。いくらハンドルを切ってもクルマは轍の中を行ったり来たりするだけで、一向に轍からは出られない。そんな時ここで紹介するスリング・アシストを知っていると実に楽々と轍から脱出できるという次第。このテクニックはOTC実技編のカリキュラムのひとつ。
このテクニックは私のオリジナルじゃなくて、実は20年くらい前トランシルベニア・トロフィーに行ったときオランダのジャーナリストがやってるのを見て覚えたもの。その彼はウクライナの巨木の森でウインチケーブルを切って取材車を大破させちゃんたんだけど、そのエピソードはいずれまたの機会に。
スリング・アシストは泥の轍を抜けるためのテクニック。必要な道具はツリートランク・プロテクターやトウストラップだけ。数ある轍脱出法の中でも最もシンプルな方法。イザという時はシンセティックロープでも使えるけど、摩擦による損傷を防ぐ工夫が必要になる。
やり方は簡単。フロントの牽引点にストラップを繋ぎ、アシスタントが適当な位置にある立木にストラップを巻き付けるだけ。巻き付けるのは、ほんの2分の1から1巻き程度でOK。スリングのようなウェビング(織物)は巻き付け摩擦の効果がとても大きいので、アシスタントはストラップの端を緩まない程度に持っているだけでよい。
次回のOTCの時にでも作業風景を動画に撮ろうと思ってたけど、YouTubeで偶然スリング・アシストをやってる映像を見つけたので、それを紹介しておきます。

2010年12月18日土曜日

ホンダ EV-neo ショートインプレッション

ほんとはTwitter用に書いたんだけど、思いの外長いネタになっちゃったので、フォロワーのTLを乱さないように、こちらに掲載することにしました。それで、Twitterスタイルの単文がそのまま並ぶヘンテコなインプレになってます。いわゆる媒体用の原稿じゃないので、とても率直な表現になってますし、写真も動画もなしです。なお、関係者の皆様がお読みになる場合「辛口御免」です。

2010年12月17日金曜日

氷雪を駆けるモーターサイクル Husqverna 258A Militaly


ハスクバーナ258Aミリタリー

オフロード・モーターサイクルの雄として知られるハスクバーナだが、ここで紹介するモデルは少々毛色が違うもの。このモーターサイクルは1981年製のハスクバーナ258Aミリタリーというモデルで、その名のとおり軍用モーターサイクルです。市販エンデューロモデルをベースに開発されたが、興味深いのは軍用ということで、兵士が短い訓練期間で乗りこなせるようにオートマチックトランスミッションを採用したということ。
極少数を除き民間には販売されなかったので、現在コレクター所蔵のものは放出品をレストアしたものだろう。ただし、このモデルを契機にしてハスクバーナは市販オートマチックモデルを何機種か造ったので、パーツ互換性のおかげでレストア自体は難しくないようだ。民生仕様はエンデューロモデルで、あのマルコム・スミスがエルシノアを走らせたりした。
ハスクバーナ258Aとはどんなモーターサイクルか?なぜこの季節にこのバイクの記事を書いているのか?そのわけは、以下の動画を見てもらえば一目瞭然。

2010年12月14日火曜日

スタック脱出の優れたアイデア! Eslingoplancha


今回紹介するのは、ヨーロッパ有数のオフロード天国として知られるスペインの発明品で、スタック脱出用のツールです。Eslingoplanchaはエスリンゴ・プランシャと読みます。エスリンゴは英語のスリング、つまりループになったストラップということで、プランシャは「アイロン掛けする」という意味の言葉。だから「ループ状のストラップを使ってアイロン掛けのような動きをするもの」というようなニュアンスの商品名だろうと思います。なんだそりゃ?と思うでしょうが、まあ以下の動画を見て下さい。なるほどそういう動きかと納得するはず。

2010年12月6日月曜日

Twitter Timeline of m_takehira (11月25日〜12月5日)

このTwitter Timeline of m_takehira ですが、表示順に新しいツイートから古いツイートという方式を使ってきましたが、「話の流れが判りにくい」「連続した内容を逆順で読むことになる」などのご意見を頂戴しましたので、今回より、古いものから新しいものという表示順に変えることにしました。
Thu, Nov 25

  • 01:44 いきなりこう書いても…反省。しかるべきエネルギーは必要なのだが、CO2とH2O(水)からH2とCOの混合ガスを生成できる。で、それを元にCH4(メタン)が合成できる。RT@m_takehira そういう方法でCO2を回収したら、そのCO2を循環させることが大切。
  • 01:48 さらに製鉄所だとH2は豊富なので、さらにメタンより複雑な組成の炭化水素(ガソリンや軽油)を生成するプロセスも導入しやすいと思う。これらのプロセスは既に一定の経済整合性が検証されている技術であり、エントロピーを考慮しても非現実的空論ではなくなっている。
  • 01:50 なお前にカーボンニュートラルと書いたけど、これは全て人工プロセスなので、カーボンリサイクルと言うべきでした。
  • 02:02 まあせっかく効率良くCO2が回収できるようになったのだから、そのCO2と水からシンガス(水素と一酸化炭素)を造り、そこからメタンを造るところまでは一気に実用化して欲しいものですね。その先は都市ガス会社に売ってもいいのだから。そうするとCO2出さずにエネルギーを造れる工場になる。

2010年11月29日月曜日

モバイル用の表示に対応しました

当ブログもようやくモバイル表示モードに対応いたしました。ちょっと読みやすい表示になったと思います。iPhone、iPodtouch、iPad等で従来のURLにアクセスしていただけば、自動的にモバイル用の表示になります。
もちろん従来どおりの表示も選択できます。iPadのように大きな画面だと、そちらがよいという場合もあるでしょう。
使用実感としては、モバイル用の表示だとタッチ操作環境では、かなり使いやすいと思います。

記事内のHTMLリンク切れ、修正しました。

ツイッターTLのまとめページなどで、HTMLリンク部分が単にテキストとして表示されていた点を修正しました。
もっとも、これまでもテキストを選択して右クリックのメニューからURLを開くことはできたのですが、モバイル環境で当ブログをご覧の皆さん(かく言う私もiPhoneを使ってますので)には不便だったと思いますので、修正することにしました。

2010年11月25日木曜日

Twitter Timeline of m_takehira (10月11日〜11月24日)

このブログの方でツイートをご覧いただいている皆様、更新サボっててスミマセン。


ここ1ヶ月程のツイートを以下にまとめました。


Wed, Nov 24


  • 23:07 そういう方法でCO2を回収したら、そのCO2を循環させることが大切。例えば、できるだけ小さなエネルギーを使ってここから炭素を分離、それをメタンと合成して、内燃機関向けの液体燃料を造るというような仕組みと組み合わせればカーボンニュートラルが可能になる、ということ。
  • 23:03 なんか言いづらいけど、大勢の人が勘違いしてるみたい…このニュースhttp://ow.ly/3eBHpは、火力発電等から排出されるCO2を、従来の化学的手法によるものよりも「格段に低コスト高効率で」分離回収できる、という技術。そのCO2は消えて無くなるわけじゃない。
  • 22:27 @Ysplanning いわゆるESCモジュールとABSモジュールはよく似た外観なんですけど、決定的に違うのはESCの方が断然高度な力加減ができるということだと思います。これはセンサや制御プログラムにおいても同じです。それでも充分普及品となり得るコストまで安くなると思います。  [in reply to Ysplanning]
  • 22:21 かなりありますよね。ヨーを検出するにはGセンサだけよりジャイロがある方がいいし、そのポンプ自体も出力やレスポンスを上げたり、一時的に蓄圧する機能を備えたりした方が良いですから。ソフトも格段に複雑で演算が重いし。 RT@Ysplanning コストアップ要素は何でしょうか?
  • 21:47 @Ysplanning ドライブレコーダーって、特に運転してる時間が長い人には有益ですよね。近頃の交通状況だと、前だけじゃなく後ろも録画できるのが良さそうですね。それと、あれって録画してると「正しい運転しなきゃ」と思うのだそうで、それで事故防止効果もあるんだそうです。  [in reply to Ysplanning]
  • 21:42 今時のABSモジュールにはポンプついてますよね。ペダル踏んでないときは、確かに仕事しませんけど。RT@Ysplanning 少なくてもブレーキペダルを踏んでいないときに油圧を発生させるためのポンプは必要になるのだけど。
  • 21:41 確かにそれは誤解ですね。でも、そう単純ではないにしろ、技術としてはそういう進化をしてきたので、そう思っても別にいいんじゃない? RT@Ysplanning もしかするとABSつきのクルマは制御を変えるだけでESCにできる、という誤解が広まっているような気がしてきた。

2010年10月12日火曜日

Twitter Timeline of m_takehira (9月29日〜10月9日)

ここ1週間あまりのツイートのまとめです。


Sat, Oct 09

  • 16:25 @4x4IMPS カーナイトでしたか。そりゃ丁度良かったですね。ランクルってスペクターに寄ったのかな?  [in reply to 4x4IMPS]
  • 06:56 @4x4IMPS あはは、研修楽しんできて下さいね。  [in reply to 4x4IMPS]
  • 06:55 これ、いいね!スノボやスキーやる人は是非!YouTube - The World's First GPS Goggles with Head Mounted Display http://t.co/WeqOuOz

2010年9月29日水曜日

Twitter Timeline of m_takehira (9月19日〜9月28日)

この1週間ほどのツイートのまとめです。
Tue, Sep 28

  • 23:47 Twitterの共有ブックマークレットって便利。これまでBit.ly sidebarを使ってたけど、こちらに乗りかえだな。 http://t.co/rnv5zgI
  • 23:37 ちなみに最新の自動車用ガソリンエンジン設計では、ディーゼルサイクルではないものの、PPC化は既にトレンドとなりつつある。またディーゼルエンジンの低圧縮比化という流れも新しい燃焼制御の方向性を示している。
  • 23:31 PPCの57%という数字はほんとに驚き。最新の火力発電でも超臨界圧蒸気とコンバインドサイクル(多段タービン)を使って59%だから、平均的な電力を利用するよりも効率が良いということなのだ。
  • 23:16 なぜガソリン使用のディーゼルか?というと通常のディーゼル燃料は燃焼速度が速すぎるため。ただし発表によれば、低セタン価のディーゼル燃料を製造する、あるいは大量EGRと低圧縮比化を計れば、ディーゼル燃料でもPPC技術を使用できるとしている。
  • 23:12 このPPC技術は、HCCIとSIを組み合わせた既存の内燃機関改善の研究が、足踏み状態にある現状から一歩前進する上で非常に有力だと言える。なお、内燃機関で50%を越える熱効率は超大型の低速ディーゼル以外にはなかった。自動車用のエンジンでは初といえる快挙。
  • 23:05 スウェーデンの研究者が予混合燃焼と拡散燃焼を組み合わせた噴射制御(PPC)を使う手法で、ガソリンを燃料とするディーゼルエンジンで最大57%の熱効率が得られることを実証。http://bit.ly/aVjEpn
  • 16:27 チェーンを使わない自転車Stringbike:こっちの自転車はもっとユニーク。クランクはケーブルをカムレバー方式(コンパウンド・ボウみたいな)引っ張り、リアのフリーホイール機構と連携して進む。カムのレバー比を変えて変速するみたい。http://bit.ly/bahLOC
  • 16:20 ヘンテコな自転車DreamSlide:なんだかシートがないだけの自転車に見えるけど、クランク周りは優れた技術なので注目!クランキングのデッドゾーンを解消し「漕ぎ」の効率を高めてくれる。http://bit.ly/cwWoyq

2010年9月20日月曜日

Twitter Timeline of m_takehira (8月28日〜9月15日)




忙しさにかまけて、随分ブログの更新をさぼってしまった。ぼちぼち気合い入れていきます。というわけで、まずここしばらくのツイートのまとめです。

Wed, Sep 15
  • 10:45 まあ逆の見方をすれば、ビジネス街の昼飯時に、女性が店にはいれば、同じ様な気分になるのかも。要は場違いって事だな。
  • 10:41 原稿書きに追われてます。食事に出たら、ファミレス駐車場が輸入車で満杯。こんな時間に、と思ったら幼稚園帰りのマダムの集団だった。連中の声のでかいこと。他の店にすれば良かった。
Sun, Sep 12
  • 15:42 @gaw86 これって自動車博物館?カタログ売ってるんだ!  [in reply to gaw86]

2010年8月30日月曜日

Twitter Timeline of m_takehira (8月19日〜8月28日)


この1週間のツイートです。 Sat, Aug 28



  • 17:23 @onitaiji55 Re:焼き肉ツアー 北区方面には疎い私ですが、あっち方面行くなら舎人ライナーってやつにも乗ってみたいなぁ。あれってハイテク感あるのかな?  [in reply to onitaiji55]
  • 17:18 @shim89 部品取りとか中古車選びするときって、部品の表面に「当たり」「ハズレ」とか「良、並み、不良」なんて浮き出てくれればいいのに…なんて思いません?まあ夢物語ですけど。  [in reply to shim89]
  • 16:59 本日も執筆の打ち合わせ。長〜いお茶してきました。ふと気がつくと、小生が書いてるクルマの歴史ネタって、結構リアルタイムでそのクルマのデビューを見てきたものまで含まれるようになってる。そうだよね〜歳とったもの…

2010年8月22日日曜日

続・ケーブルが乱巻きにならないウインチ


この前にポストしたオートアドバンス・ラインスプーラーじゃ車載には相当困難があると思うので、もう少し他のアイデアを紹介しておこう。まず最初に紹介するのはATVに搭載されたもので、プーリーを介してフリートアングルを適正化するというアイデアはオートアドバンス・ラインスプーラーと同じ。ただこちらはもう少しシンプルな形でDIYされたものだ。その次は車体にピボットを持ち、引っ張ればウインチ自体がラインに対して整列するという単純明快なもの。こちらのアイデアは昔から色々と製品化されてきたものだが、その中から良くできたものをふたつピックアップしてみた。

ケーブルが乱巻きにならないウインチ


ウインチングで一番厄介なのは、巻き取り中にケーブルが乱巻きになってしまうこと。乱巻きになるとケーブルが偏って団子みたいになってしまう。団子になるとケーブルが噛み込んでしまったり、果てはスプール(ドラム)から脱線してウインチを壊してしまったりする。
これを防ぐには「できるだけアンカー位置は遠くに取り、ケーブルは真っ直ぐな方向でしか引かない」ことに尽きるのだけれど、現実はそうもいかない場面も多い。とくに単独行でセルフリカバリーをするような時には、大抵厄介な場所にしかアンカーが取れないものだ。
横引き斜め引きというのは牽引効率も大幅に低下する。つまりクルマを前に引っ張る力は小さくなるし、ウインチへの負荷は増す。ウインチが高負荷ということはワイヤーを巻き取る力は巨大だということだから、ケーブルは下のレイヤーに食い込みやすくなるという悪循環も生まれる。ベテラン諸氏ならケーブルが偏って巻かれる状態に気づいたら、一旦作業を止めてケーブルをフラットに巻き直してからウインチングを再開することだろう。

2010年8月20日金曜日

Twitter Timeline of m_takehira (8月11日〜8月18日)


この1週間のツイートです。
Wed, Aug 18
  • 20:34 オイルパンに使われるようになると、オフロードでの補修が楽になるかな?接着剤が効きそうだし。まあレーザー溶接機はオフロードに持っていけないけど。
  • 19:37 そのザイテルplusはオイルパンなどにも使える耐熱性だそうで、部品の低コスト高精度化に貢献しそう。
  • 19:35 デュポンが新しいナイロン系ポリマー素材ザイテルplusの出荷を開始する。これはエンジンのヘッドカバーなどにも使われてきた高耐熱の樹脂の新バージョン。レーザー溶接できるようになったので、複雑な成形部品にも対応しやすい。
  • 19:22 表にいたので、飯を食って帰ろうと店を覗いたらどこも満員。で、Macに寄ったらBigmacが200円、ふーんそりゃ安い。というわけで、Macからツイート中。
  • 18:10 お盆休みも終わりですね。そろそろ頭を仕事モードに切り換えなきゃ…。まずはたまった仕事の仕分けをして、優先順と完了目標の再設定からだな。休み中に思いついた新しい作業もスケジュールに入れなきゃね。
Mon, Aug 16
  • 23:57 @CJ3BJ52 学生時代に生協で買ったビールを持って、ゼミ仲間と一緒に屋上で見物した記憶があります。でも4年間住んでたのに、見た記憶はその1回だけ。  [in reply to CJ3BJ52]
  • 07:03 Segwayに興味のあるオフローダーは必見!?これを造ったエンジニアはSegwayをトレーラーヒッチに搭載できるセグベーターってので一山当てた人物だが、オフロードがどういうものかは全く判ってないみたい。動きもなんだかぎこちない。http://bit.ly/aqBqUE

2010年8月11日水曜日

Twitter Timeline of m_takehira (8月3日〜8月9日)

この1週間のツイートのまとめです。
 Mon, Aug 09

  • 11:30 @CJ3BJ52 そういえば生産ラインにもそういうのが置いてあるところが有りました。ほとんど空調があるので、通上の休憩で給水するのですが、送風ができない種類の仕事だとそうなってましたね。  [in reply to CJ3BJ52]

Sun, Aug 08

  • 22:30 @CJ3BJ52 そういうのに凝ってるんですか。ああいうべたべたする飲み物は苦手です。私なんざポケットに塩の錠剤持ってればいいと思いますけど。  [in reply to CJ3BJ52]
  • 18:21 @silver_fox_23 知らなかった。乗ってるんですね。僕は年イチかなぁ。乗る気はあるんですけどね。  [in reply to silver_fox_23]
  • 18:19 @CJ3BJ52 情報有難うございます。  [in reply to CJ3BJ52]
  • 16:08 @4x4IMPS テスト始まりましたか。楽しみですね。  [in reply to 4x4IMPS]
  • 10:18 この数日間で一番嬉しかったのは、CADソフトで簡単にコイルスプリングを描く方法をみつけたこと。ブログ用の図版にどうしてもコイルのイラストが欲しかった。このCAD随分前からつかってるのだけれど、コイルは描いたことがなかった。マニュアルはちゃんと読むべきだね。
  • 08:30 近頃バックミラーを装着した自転車をよく見かけるようになった。道交法改正以降自転車は車道を走ることを義務づけられているわけだから、安全上バックミラーはとても有効。ただ、もし装着が義務づけられたりしたら、うっとうしいだろうな、とも思う。あくまで個人の判断で…が望ましい姿だと思う。
  • 08:19 最近エクストリーム系スポーツではアクションカムというのが流行ってる。要はクルマや体に装着する小型カメラだけど、続々高機能のものが登場している。こういうのって臨場感のある映像が撮れるんです。これは20m防水という新製品。http://gizm.ag/bgqoXz
  • 04:02 @silver_fox_23 湿度が高いとか、風通しが悪いとかは、熱射病のリスクを上げるようです。開けた場所でも地表付近(立ってるかかがんでるかでも違うようです)はそういう条件が揃うみたいです。オフロードでも用心したいですね。  [in reply to silver_fox_23]

2010年8月4日水曜日

ハンドルの振れ(Steering wobble)PART 1



赤丸をつけたベアリングが「ハンドルの振れ」と関わりが深い。ちなみにこの画像はあのMBです。
インプスさんのブログ「ハートに火をつけて」に「ハンドルの振れ」についての話題が書かれている。確かにこれはオフローダーなら多かれ少なかれ出くわすお馴染みの悩みの種だ。経時劣化によるガタが主な原因だが、乗用車じゃよほど傷んだクルマでないと経験することはない。なぜクロカン車(特にリジッド車)はハンドルの振れに悩まされるのか?それには大きなタイヤ、重いバネ下重量というオフロードカーならではの要素が影響している。
多分多くの読者の関心事だと思うので、何回かにわけて「ハンドルの振れ」についてお話ししようと思う。「今、俺のハンドルはウォブルを起こして困ってるんだ」という方もいるかもしれないので、まず今回は、話の全体像がどんなものか、ということを書き出しておこう。

Twitter Timeline of m_takehira (7月26日〜8月2日)



この1週間のツイートのまとめです。
Mon, Aug 02
  • 16:42 メルセデスがフルサイズのデリバリーバンVitoのEV仕様を生産開始。年内に100台、来年には2000台を生産する計画。このサイズの商用車は都市型商用車の中核を占め、EV化のメリットは大きい。バッテリー容量は36kWhと予想外に小型だが、そのうち32kWhを使用できるという高効率。
  • 15:53 10年ほど前クライアントの依頼でAFTAが自動車産業に及ぼす影響についてレポートを書いた。新型マーチが日本向けもタイ生産という話題でそのことを思い出した。ASEAN内のFTAは着実に進み、もはや自動車関係の関税は完全撤廃に至っている。自動車ビジネスは後戻りできない流れの中にある。
Sat, Jul 31
  • 16:13 空気を読んで、大衆のガス抜きをしたり、政治的目的のための操作を行うのは大昔からの常套手段。誰かを苛めることで気持ちよくなってしまうという、あさましい大衆心理を利用する手法は、悲しいかないつも効果的だ。我々はもっと賢く物事を見極める努力をしなくてはならないと改めて思う。
  • 16:06 だから言ったでしょ、という話。WSJが元NHTSAのリコール担当者の話を掲載。米国でのトヨタ大量リコールの際の調査で、当初からユーザーの不注意による事故というデータが揃っていたのに、政治的に「空気を読んで」それを公開しなかったのだという。ま、予想どおり。これが世間の現実。
  • 03:00 @shim89 バランス上リアのロール剛性が高い、というのがチェロキーの特徴ですよね。なので乗り上げ時に抵抗が小さいメリットがある。反面、リアのストロークを生かしにくい。ZJのようなバランスを狙うといいと思いますが、やりかたは、どちらを選んでも面白いですよね。  [in reply to shim89]
  • 00:13 @shim89 ロングアーム制作ですか。楽しそうですね。リアはどうするんでしょう?  [in reply to shim89]

2010年7月28日水曜日

サスペンションを考える 第2回(1G接地の真実)


1回ではアーティキュレーション剛性が低いほど、低速クロスカントリーでの地形追従性能が高まるということを書いた。ただし普通の4輪駆動車は自由に捻れる回転軸で繋がれたシャシーを持たないので、アーティキュレーション剛性ゼロというわけにはいかない。そこで今回はソリッドな(そりゃ少しは捻れるのだけれど)フレームにサスペンションという一般的な組み合わせでは、アーティキュレーション特性はどうなるのか?という話をしよう。
サスの話ではよく1G状態という表現が使われる。これはサスペンションに車重以外の力が加わっていないこと、つまりクルマが動いていない(静止)状態を意味する。だからクロカンでの路面追従性能の指標ともいえる1Gでのアーティキュレーションでは、クルマの自重だけによってサスペンションがストロークしている。具体的には、平らな路面に対角線のホイールが落ち込む穴(対角線が乗り上げる盛り土でもいい)を用意し、対角線上のホイールが浮き上がる寸前まで進んだような状態のときが1Gでのアーティキュレーション限界ということになる。

2010年7月26日月曜日

OTC2010@インプス、無事終了しました


当ブログでも開催を告知していたOTC2010@インプスが無事終了しました。参加していただいた皆様、お疲れ様でした。皆さんの熱心なまなざしを感じつつ、講師の私も楽しく過ごさせていただきました。また今回のOTCを主催していただいたインプスさんの大奮闘のおかげで、OTC史上最も快適な環境での座学となりました。関係者の皆さん、本当にありがとうございました。
受講時に熱心にメモをとっていただいた方が多かったようですので、当日講習に使用したスライドのPDFをダウンロードいただけるリンクを以下においてあります。ご自分のメモと照らし合わせつつ、復習などにご活用下さい。参加されなかった方にとっても「こんな内容だったのか」ということを知る手がかりにはなると思います。

Twitter Timeline of m_takehira (7月17日〜7月25日)



この1週間のツイートまとめです。

Sun, Jul 25
  • 23:38 @4x4IMPS OTC2010@インプスの主催、お疲れ様でした。この第5回がもっとも行き届いたイベントになったという印象です。お忙しい中、気配りの行き届いたオーガナイズ、本当にありがとうございました。  [in reply to 4x4IMPS]
  • 23:34 OTC2010@インプスにご参加いただいた皆様、お疲れ様でした。講習内容が皆様のオフロードライフに少しでもお役に立てば、と念じております。またのご参加をお待ちしております。
Thu, Jul 22
  • 22:03 @4x4IMPS OTC準備お疲れ様です。私の方も少しずつ準備を進めています。参加予定の皆様お楽しみに。  [in reply to 4x4IMPS]
  • 13:10 iPhone用Skypeアプリがアップデート。3Gコンパチブルに加え、IOS4のマルチタスク対応になったので、待ち受けが可能になった。それはいいとして、相変わらずSkypeはBluetoothに非対応。待てど暮らせどいっこうに対応しないねぇ。全くどうにかして欲しいね

2010年7月19日月曜日

とても重宝するポウチ(Maxpedition RollyPoly)


レスキューに使う道具って、持って歩くと重いですよね。手頃なアンカーポイントにスナッチブロックをかけようと思えば、シャックル1~2個とスナッチブロックを手に持って、ツリートランクプロテクターをたすき掛けにして、もう一方の手でワイヤー(シンセティックロープ)を引っ張っていかなくちゃならない。これは厄介だ。両手が塞がってちゃ、急勾配を登ったり藪こぎしたりしてアンカーポイントまで辿り着くのは大変だ。

2010年7月17日土曜日

サスペンションを考える 第1回(アーティキュレーション)


最近「サスペンションの記事を!」という希望が多くなったので、不定期連載で書いていくことにしました。4輪駆動車のサスペンションは、オフロードを走行するために、普通のオンロード車には見られない特別な設計方針が盛り込まれている。そのひとつがアーティキュレーション特性だ。第1回はまずこのアーティキュレーションの話から始めたい。
アーティキュレーションは、直訳すると「折れ曲がり」のことだが、オフロードの世界では「前後のアクスルが逆位相でストロークする状態」を指す用語。この特性は、昔は単にホイールストロークが長いか短いかという表現で語られていたが、オフロード走行力学的には、前後のアクスルが逆位相でストロークする時の特性(アーティキュレーション特性)が走破性に大きな影響を持つことから、特別な状態を指す言葉として使われるようになった。
アーティキュレーションは「アーティキュレーション剛性」という基準で評価される。アーティキュレーション剛性が高ければ、そのクルマのサスは小さなアーティキュレーションしか発揮できず、逆にアーティキュレーション剛性が低いと、より大きなアーティキュレーションが得られることになる。今回はまず、このアーティキュレーション特性が実際にどのような効果をもたらすのか?という話から始めたい。まずは論より証拠、究極のアーティキュレーション特性(アーティキュレーション剛性ゼロ)を持つオフロードカーの走行シーンを見て下さい。長いビデオクリップなので、要点だけ見たい方は最初の4分くらいをスキップして下さい。

Twitter Timeline of m_takehira(6月25日〜7月15日分)



ツイッターでは日常の出来事、気になるニュース、ちょっとしたTipsなどをつぶやいています。これらのツイートを見逃してしまった方のために、週イチ程度の頻度でツイートをまとめた記事を当ブログで紹介することにしました。この記事はページ右側にある「検索」からトピックを探すこともできますのでご利用下さい。今回は最初なので過去1ヶ月分をまとめてあります。
Thu, Jul 15
  • 16:25 @TIGERAUTO おおそうでしたか。25周年おめでとうございます。ますますのご発展をお祈りします。  [in reply to TIGERAUTO]
  • 11:45 ヤマハが電動スクーターEC-03を発表。税込25万2000円という価格は安いとは言えないが、よく頑張ったと評価できる。少なくとも少し電動スクーターの未来が開けたという感じがする。


Wed, Jul 14
  • 14:43 一票の格差に関するこのブログ記事http://bit.ly/brh4vwとても良くできている。本来マスメディアがちゃんとした報道をしていれば、こういう論調が前面に出るはず。法の下の平等こそが、我々の社会で最も重要なシステムのはず。
  • 14:34 参院選が終わった。選挙の度に思うのだが、「一票の格差」はいつになったら是正されるのだろう。われわれ都市生活者の一票は、最大で地方の1票の5分の1の価値しかないという異常事態はいつまで続くのか?http://bit.ly/brh4vw
  • 04:26 @shim89 ハイステア完成 <- 上手くできてますねぇ!  [in reply to shim89]

2010年7月12日月曜日

夏のアウトドアにBUFFはいかが?(Multi-functional Headwear)


今回は趣向を変えてオフロードで便利なアウトドアウエアのお話をしよう。BUFFは1992年にスペインで発明されたヘッドウエア、つまり被り物だ。海外ではとても人気があり、多くのアウトドアズマンが愛用している。BUFFは100%ポリエステルの伸縮性のあるファブリックで造られ、継ぎ目も縫い目もないチューブ状をしている。BUFFはマルチファンクショナル・ヘッドウエアといわれるだけあって実に多機能。具体的な使い方は、以下に解説の動画を置いたので、そちらを見て欲しい。

2010年7月7日水曜日

パワードトレーラー(PTO driven trailer)


パワードトレーラーは、4輪駆動車で牽引するトレーラーにも駆動力を持たせることによって、より大きな積載能力と6x6並の走破性を持たせるというアイデアで誕生した。その背景には60年代に各国で盛んに研究されたオフロード車両の走破性を高めるアーティキュレート・ドライブ・ヴィークル(関節車などと呼ばれる)の存在がある。アーティキュレート・ドライブはサスペンションのストローク限界の影響を受けずに、駆動輪が常時均等(に近い)接地圧に保たれる構造で、そのことによって極端な不整地でもホイールが浮くことなく駆動を伝達できる。
トレーラーのアクスルは、もともと構造的に牽引車との位置関係がいかに捻れようとも均等接地する。だからこのトレーラーのアクスルを駆動すれば、即アーティキュレート・ドライブが実現できるのだ。この点に目をつけて軍用にリアPTOで駆動するパワードトレーラーが開発された。以前に当ブログの記事「Land Rover - その古き良き時代を見る」にもランドローバーのパワードトレーラーが登場したが、今回は1969年製のVolvo Laplander L3314に装着されたボルボ純正のパワードトレーラーの動画を紹介したい。

2010年7月1日木曜日

カッティングブレーキ PART 2(小回り旋回の真相)

カッティングブレーキは、仕組みとしては単純に1輪に効くブレーキだから、誰に教わらなくても操作は簡単、曲がりたい方に効かせればいい。でも本当に効果的に使うには色々と工夫が必要なのだ。今回は代表的な3つの条件下でのテクニックについて書いてみようと思う。なお以下の解説は、現在一般的と思われるフロントにカッティングブレーキを装着、リアにLSDもしくはデフロックが入っているトライアルマシンを想定している。

いつも小回りターンが決まるとは限らない
タイトスポットでくるりと小回り旋回を決める、というのがカッティングブレーキの得意技だと思ってる人が多いと思う。でも現実はちょっと違う。たいていの人は「トランスファーを2WDにし、舵を大きく切り込み、イン側にカッティングブレーキを強くかけて、一気にパワーオン」という操作をするけど、これだと思ったとおりにはアクセルターンが決まらない。まあ狙ったラインに乗せられるのは、いいいところ5回に1回くらい。大抵はリアがその場で空転して潜ってしまってスライドが始まらなかったり、強アンダーステアを起こしてフロントが流れたり、かなりラインを外れてからテールスライドが始まるというような予想外のタイミングになったりする。これに悩む人は多いはず。

2010年6月27日日曜日

検索ノススメ(お知らせ)

当ブログからのお知らせです。
「思いつくまま四方山話」も次第に記事が蓄積されてきて、トップページに表示されない過去記事が多くなってきました。過去記事をご覧になるにはサイドバーの「過去の記事を読む」、もしくは「テーマ別に読む」をご利用いただいていることと思います。
過去記事を読む方法としてはもうひとつ、サイドバーの「このブログ内の記事を検索」で検索する方法があります。例えば「え~っと前にウインチ関係の話で気になるネタがあったよなぁ」というときは、検索窓に「ウインチ」と入力して検索ボタンを押せば、「ウインチ」という言葉の出ている全ての記事が一覧表示されます。

2010年6月26日土曜日

OTC2010座学@インプスが開催されます


OTC2010座学@インプスの開催スケジュールが決まりました。OTCことオフロードトレーニングキャンプは2008年から始まったオフロードドライビングスクールですが、その前身は、ロシアンラリー参加者向けのオリエンテーションの一環として主催者から依頼されたドライビングスクールでした。
ロシアンラリーは数日間に渡るオフロード漬け体験のできる楽しいイベントですが、同時に人も車もずっとオフロードと格闘し続けなくてはならないという試練でもあるわけです。よって参加者が同イベントを楽しむには、ドライビングやレスキューの基礎をしっかりと身につけておくことが必要だったのです。
短期間にロシアのオフロードを走れるだけのノウハウを習得してもらう「中味の濃い講習」とはどういうものか?試行錯誤の末たどり着いたのが、全ての要素を「見る、考える、動かす」という3ステップで学ぶという手法で、これが現在のOTCにも継承されています。
人が物事を体得するには「いつでも思い出して活用できる記憶」を形成するのが一番良いのだと言われています。そのためには、思い出すきっかけをたくさん身につけておくことがポイントになります。「見る、考える、動かす」の3ステップのうち、「見る」と「動かす」は実際のオフロードでしか講習できませんが、それと同じくらい重要な「考える」という要素は、実はオフロードの現場では体得するのが難しいのです。だって目の前にオフロードがあったら、とにかく走ってみたくなりますよね!でも「考える」はオフロードドライビングを学ぶ上で、スルーしちゃいけない大切なものなんです。
考える」ためには基礎的な科学知識を知っておく必要があります。クルマがなぜスタックするのか?どうすればトラクションが得られるのか?基礎的な科学知識さえ持てば、こういうことがすんなりと読めるようになるのです。そんなわけでOTCには他のスクールにはない座学が設けられたのです。仕組みが判ると、どうすれば走れるのか?ということがとてもクリアにイメージできるようになります。
今回、OTCのコンセプトに共感していただき、自らもOTC普及に一役買って出てくれたインプスさんの主催によりOTC2010座学@インプス(7月25日)開催の運びとなりました。只今参加者の「へ~」や「なるほど!」という声を聞くのを楽しみにしつつ、鋭意座学の講習スライドを作成中です。是非ふるってご参加下さい。詳細および申し込み手続きはインプスさんのホームページ(http://www.imps.co.jp/motorsports/index.html)から。

2010年6月22日火曜日

ねじれはダメ、というお話

このところリギングに関する話題をたくさん書いたので、物置からレスキューツールなどを引っ張り出して遊んでみた読者もいるんじゃないかと思う。そこでちょっと思い出した小ネタを紹介しておくことにした。それは「リギングは捻れていてはいけない」ということ。リギングの捻れはトラブルの元、特に大きな力を必要とする作業では、ロープ(ケーブル)やスナッチブロックの破損にも繋がりかねないのだ。
スナッチブロックとロープ(ケーブル)は同一平面で動くものだが…
レスキューではダブルラインをよく使うけれども、その時にアンカーとレスキュー車(あるいはウインチ車)が違う高さに位置するという状況がよくある。このことがしばしばトラブルを起こす。下のイラストのように、基本的にスナッチブロックとロープは、アンカーとレスキュー車の高さが違っていても、テンションが加わると自然に同一平面上に整列する。もちろんこれはスナッチブロックが回転して向きを変えてくれるから。
問題はスナッチブロックが自由に向きを変えられない場合に起きる。スナッチブロックをスタック車の牽引ポイント(フックなど)に繋ぐにはシャックルを使うと思うが、そうするとスナッチブロックが自由に回転できる範囲というのは意外に狭いのだ。するとどうなるかというとイラストの左側の状態のように、ロープ(ケーブル)とスナッチブロックが強く干渉したまま牽引することになってしまう。これが摩擦でロープが切れたり、スナッチブロックを傷めたりする原因になる。

2010年6月19日土曜日

オフロードの走行力学 等速協調駆動編

4輪駆動車が優れた走破性を発揮できる理由にはいくつかの要素があるのだが、中でもオフロードドライビングテクニックに深く関わっているのが「等速協調駆動」という仕組みだ。OTCで教えるドラテク実技の多くは、この等速協調駆動のメリットを最大限活用するための手法だといっても過言ではない。だからこの仕組みを理解し、走行中にいつもそれを意識することが大切だ。
等速協調駆動とは?
パートタイム4WD(センターデフをロックできるフルタイムも)は4WD走行時に前後アクスルが直結される。よって前後アクスルは常時等速を保って駆動される。そのため一方のアクスルが滑りやすい路面にあっても、回転速度はグリップのある側のアクスルと同一のままに保たれるので、トラクションを確保しやすい。つまり前後アクスルの回転はいつも等速になるように互いに干渉し合っているわけだ。これを等速協調駆動という。
平らな路面でもこの特性はトラクション面で有利だが、本領を発揮するのは起伏のある路面だ。例えばフロントアクスルが段差に乗り上げる場合、段差が大きく急(垂直段差のように)であると、そのアクスル単体ではグリップを得られない。ところが前後アクスルが直結駆動される4WDでは、リアアクスルの駆動力によって乗り上げ側のフロントアクスルが押されるので、それによって段差に押しつけられてグリップを得ることが可能になる。この仕組みで等速協調駆動される前後アクスルは、互いに押したり引いたりし合いながら等速で回転することによって、不整地でも単に4輪に駆動力が分散されている以上のトラクションを発揮することができるのだ。

2010年6月18日金曜日

OTC リギング講座(ダブルラインの力学編)

OTC2010座学@インプスの開催も決まったので(日時はまだ未定ですが)、参加をお考えの皆さんの予習もかねて、今回はカリキュラムの一部であるリギングについてのお話。リギング(Rigging)とはレスキュー用のロープ(ケーブル)のレイアウトのこと。ロープ(ケーブル)とスナッチブロックを使うレスキューは、ソフトカーロープなどを使う直引きよりも手間はかかるが、困難な状況にも対応できるという点ではベストなソリューション。
さて、ロープとスナッチブロックの使い方というと、お馴染みのダブルラインやトリプルラインというリギングが登場する(もちろんOTCでも教えます)のだけれど、現実のオフロードでは理科実験用の滑車模型のように都合良く真っ直ぐなラインでリグは組めない。そこで科学的かつ実戦的に、をモットーとするOTCでは効率の良いリグを組むために「力を計算してみる」手法を推奨している。つまり現実のリグにはどのように力が掛かるのか?ということを考えるのだ。例えば初級コースではこんな話をする…
Q:下の図のように、ダブルライン(ラインの角度は60°)で、スタック車をレスキュー車が約1tの牽引力で引っ張る(青矢印)と、スタック車Bにはどのような力(赤矢印)が加わるでしょうか?力の向きは?力の大きさは?

正解は「もっと読む」でジャンプした先に書いたので、まずは考えてみて下さい。

2010年6月12日土曜日

都市伝説にご用心! Reverse winch recovery

うっかりしてると信じてしまいそうな都市伝説ってありますよね。よ~く考えれば気づきそうなものなんだけど、語ってる当人がその話を信じ込んでる場合には妙に説得力があって、聞いてる方もつい「そうなんだ」なんて思ってしまう。4駆の世界にもそういう話があるんです。そのひとつがリバース・ウインチリカバリーってやつ。この図のようなリギング(ラインの取り回し)を使って、「ウインチを使って自分の車をバックさせる」というのです。



まあ、以下の動画を見てやって下さい。最初に言っておきますが、この動画で紹介されてるテクニックは、全くの間違いですので、信じちゃダメですよ。

2010年6月5日土曜日

シンセティックロープ PART4



シンセティックロープは従来と違った使い方も可能


エクステンションロープとして使うなら
シンセティックロープはエクステンション(延長)ロープとして使うのに最適だ。なにしろウインチロープと違い熱の問題がない。これまで書いたとおり、高級な保護レイヤーを備えたロープが最もヘビーデューティなのはこの場合でも同じ。ただしドラムに巻き取られるわけではないので砂や泥を噛み込んだまま強い力が掛かる心配は少ないので、かならずしも高価なブレイデッド・ロープを選ぶ必要性はない。またブレイデッドでない普通のタイプはとても軽量(水に浮く比重)で、手触りもしなやかで取り扱いが楽だ。また普通タイプだと価格的にかなりお求めやすいのも魅力。エクステンションロープの場合、使用するクルマの重量の3倍くらいの耐荷重性があるとオールマイティに使える。





シンセティックロープ PART 3

ウインチとシンセティックロープの関係

ポピュラーな普及品Amsteel Blueの装着例
あえて旧式なスチールワイヤーを選ぶのも正しい
強くて軽くてしなやかなシンセティックロープは魅力的だが、ウインチのドラムに巻いて使うなら、オールドスタイルのスチールワイヤーの使い勝手も捨てがたい。噛み込んだり、ささくれだったり、キンクしたりという旧弊やその重さに目をつむるなら、少々岩を擦ろうがウインチ本体が熱を持とうが気にせずに使えるワイヤーのタフさはやはり頼りになる。正しくウインチを使いこなす技術を持つ人なら、既に長い実績のあるスチールワイヤーの方が信用できると思うことだろう。私自身もウインチロープは「どちらを選んでもいい」と思っている。扱いやすいシンセティックロープも、ヘビーに使うには色々と注意すべきことがあるし、コストだって嵩む。ただしウインチング時のエクステンション(延長)ロープとして使うには、シンセティックロープが断然有利なので、こちらの場合はもう敢えてワイヤーを使うという時代ではなくなったと思う。
ウインチにシンセティックロープを使うという選択
ウインチをエクストリーム競技で使うのなら、ウインチロープにはシンセティックが最適。軽量かつ圧倒的な引っ張り強度がものをいう。巻き取りを高速化する改造を施された競技用ウインチでは、ワイヤーはしばしば巻き取り時のショックで切れてしまう。またワイヤーは頻繁にジャムを起こすので、これも競技ではロスの元。しなやかなシンセティックロープはドラムでジャムを起こしにくいし、高級ロープならワイヤーと同程度の径で引っ張り強度は2倍以上もあるのだ。ロッククローリング競技では足場の悪い岩場で素早くウインチラインを設置しなくてはならないから、シンセティックロープの軽さは重要だ。ではそれ以外の普通の使い方ではどうか?そこでは「熱」の問題を考えなくてはならない。電動ウインチはヘビーに使うと驚くほど発熱するからだ。シンセティックロープの非常に大きな引っ張り強度も、高温(人が触って熱いと思う100度くらいから)状態では著しく性能低下するのだ。ほんの数メートル引けばスタック脱出できる、というような条件でしかウインチを使わないという人(多くの人はそうだが)なら熱は問題にならないものの、ヘビーに使うとなると、「並の」シンセティックロープでは役者不足は否めない。

シンセティックロープ PART 2

ハイスペックな2重構造のシンセティックロープの例
シンセティックロープの選び方
オフロード用に限ってもシンセティックロープとして販売されているロープにはいくつかの素材がある。前回書いたように、伸びないことが求められる用途では、どれも基本的に芳香族骨格ベースのポリエチレン系ロープなので素材の特性は同じようなものだが、完成品のロープとして販売される状態では、大別してふたつのタイプがある。ひとつは非常にしなやかで柔らかく曲がるもので、もうひとつはぎゅっと締まった手応えで、きついRでは曲がらないタイプのものだ。両者は手に持ったときの印象も随分違うので、始めてシンセティックロープを購入しようとする時、その性格の違いを理解しておかないと、どちらを選べば良いのか迷ってしまうものだ。

2010年5月20日木曜日

カッティングブレーキ PART 1


トライアルやロッククローリングで使われるカッティングブレーキだが、なぜカッティングブレーキと呼ばれるのかご存じだろうか。ある友人が「ブレーキラインちょん切って装着するからだろう」と言って皆を笑わせてくれたが、実はこれ、ほぼ正解なのだ。なぜかというと元々 Cut - in Brake が、Cutting brake の語源だから。といっても Cut - in は「ちょん切る」のではなくて、「割り込む」という意味なのだけど。つまり通常のブレーキ回路の働きに必要に応じて割り込んで機能させるので Cut - in  なのだ。
前の記事「スポーティング・トライアル」のコメントへのレスで、英国では fiddle brake とも言うと書いた。英国口語では「ズル」なんだけど、フィドルというのはバイオリンの別名でもある。(というか口語以外だとこちらが普通の意味)確かに、滑る路面で必死にトラクションを求めて、せわしなくレバーを押したり引いたりする様は確かにフィドルの早弾きを思わせるものがある。

2010年5月17日月曜日

スポーティング・トライアル


メジャーとは言えない競技なので、ご存じの方はあまりいないと思うが、スポーティング・トライアルは英国やアイルランドで楽しまれているモータースポーツ。2輪駆動の自動車でオフロードを走るトライアル形式の競技で、由緒正しい紳士のクラブスポーツ。競技者のいでたちも、レーシングスーツなんか着ちゃいないし、野暮なヘルメットも被っちゃいないところがいかにも英国風。おっと、足元はもちろん長靴です。Country Gentlemenの伝統ですな。
スポーティング・トライアルの起源は、世に自動車が普及し始めた頃にも遡る。ゆえに競技の車両規則も伝統に則ったものだ。2シーターのロードスタースタイルで2輪駆動、タイヤはクラシックサイズ(細い!)のオンロードタイヤ(!)、デフロックなど差動制限装置はなし。要は古き良き時代の小型スポーツカーのカタチ。マーカーを縫って競うのでカッティングブレーキ(実体は左右独立のハンドブレーキだ)は認められている。そんなんじゃたいしてオフロードは走らんだろうと思いきや、これが4駆はだしの走破性を見せるのだ。まずはYouTubeの動画を見て欲しい。

2010年5月16日日曜日

シンセティックロープ PART 1




このところ何回かシンセティックロープについて質問されたので、その説明をまとめてみた。最近ウインチにシンセティックロープを使う人が増えてきた。ワイヤーよりも軽量だし、しなやかで扱いやすいところが好評を呼んでいる。というか、本場のロッククローリング・シーンで有力選手達がシンセティックロープを使っているせいで、流行し始めたようだ。ま、カタチから入るのは悪いことじゃない。それも趣味の楽しみ方だから。でも効能をお勉強しておくと、友達との茶飲み話がもっと楽しくなると思う。

2010年5月12日水曜日

Land Rover - その古き良き時代を見る


ランドローバーマガジンの読者なら、ランドローバーのメカニズムや歴史について書いた小生の記事をご覧になったこともあると思う。執筆していていつも感じるのは、ちょっとしたトピックの解説をするにも「あ~動画でもあれば一目瞭然なのに…」ということ。そこで小生の筆の至らないところを補う映像はないものか?とYouTubeで探してみた。
で、いくつか見つけたので紹介しようと思います。今回とりあげるのはシリーズ・ランドローバーのプロモーション映像で、タイトルは Land Rover - All in a Day's Work。All in a Day's Workとは意訳すると、「どんな仕事も朝飯前」というようなこと。ランドローバーが「万能なワークホース」であることを目指して造られたという事実がよく判る。実に様々なオプションが紹介されているので、メカ好きなら必見。古い映像なので、埋め込み動画のあとに、タイムコードに沿って簡単な解説をつけておきました。動画は2部構成です。

2010年5月6日木曜日

キャプスタンウインチ その2




構造はどうなってるの?
キャプスタンウインチの中身は上の図のようになっている。これはランドローバー純正オプションに採用されていたフェアリー製キャプスタンウインチ。同じものは古い軍用ジープでも使われていた。(時系列的にはそちらが先なのだ)シリーズ・ランドローバーの初期にはエアロパーツ社製が採用されていたが、キャプスタン部分の意匠は異なるが、機構部は同じと言って良いくらい瓜ふたつ。図は左奥が前で、右手前がエンジン側だ。機械式PTO駆動なのだが、いわゆるPTOギアボックス経由ではなく、動力はエンジンのクランクシャフト前方から得ている。
その辺がどうなってるかというと、ちょっと図では判りにくいが、エンジン始動用のスターティング・クランクを接続するフランジ部分にPTOシャフトを繋いで直接動力を得る仕組みだ。その部分にドッグクラッチがあってオン・オフを切り替える。減速はウォームギアセットで行う。ウォームギア(インプット側)とウォームホイール(キャプスタン側)には非可逆性(ウォームギアから回せるが、ウォームホイールからは回せないということ)があるので、これがブレーキの役割も果たす。

キャプスタンウインチ その1



キャプスタンウインチってご存じですか?いびつなキノコみたいな形状のキャプスタンにロープやワイヤーを巻き付けて使うタイプのウインチです。多分多くの方が、古いランドローバーのフロントに装着された姿をご覧になったことがあると思う。普通の(ドラム式という)ウインチがワイヤーをドラムに巻き取っていく方式なのに対し、キャプスタンウインチではワイヤーは「引っ張るだけで、巻き取りはしない」という仕組みになっている。
何が便利か?というと、ドラム式と違ってリーチ(引っ張ることのできる距離)が自在だということ。ドラム式だとそのドラムに巻けるワイヤーの長さ(30mから45mほど)がリーチを決めてしまうが、キャプスタン式だと長いロープやワイヤーを用意すれば、理屈上はリーチの制約がない。
逆に不便なことは、ドラム式と違ってロープはどこにも固定されていないので、人の手でロープにテンションをかけておかないと、キャプスタン上を滑ってしまって巻き取りできないということがあげられる。つまり作業者がひとりだと、セルフリカバリーには使えないということだ。なんか使いにくそうだなと思うでしょ。でもキャプスタンウインチって、実はいいとこも沢山あるんです。

2010年4月30日金曜日

フローテーション!


 百聞は一見にしかず
 フローテーションがどういうものか?を知ることは、われわれの最大関心事であるトラクションの仕組みを理解するためのキーポイント。だから小生が講師を務めるオフロードスクールなどでは、「座学」の時間を設けてフローテーションについて説明するようにしている。なんでわざわざ座学かっていうと、耳から聞いただけでは難解なオフロードの走行力学というヤツも、図解だとイメージがつかみやすいから。
 いつも判りやすい図を描くのに腐心してるのだけれど、先日YouTubeを見ているときに「こりゃ判りやすい例だな」と感じた動画があった。J-WheelzというATV用アタッチメントのプロモーションビデオなのだけれど、フローテーションとはどういうものか?がとても判りやすいので、見てみて欲しい。(もっと読むで動画が見られます)


2010年4月27日火曜日

ウインチ雑感


YouTubeで興味深いウインチング映像を見つけた。このランクルに装着されているウインチはRunvaのHWP10000というモデル。走ってる場所は東欧のラトビア共和国で、延々と続く深い泥の轍で、これは連続高負荷運転となるので、ウインチにとっては相当厳しい条件だ。並の電動ウインチでは1ピッチ(ドラムに巻かれたケーブルの長さ)を連続して巻き取ることすらモーター焼損などのリスクを伴う。ではなぜこの映像のように連続して巻き続けられるのか?それはこのウインチが油圧モーター駆動だからだ。(もっと読むで動画が見られます)