タイヤメーカーのコンチネンタルが新しいセンサー技術を開発した。現在高級車を中心にタイヤに空気圧センサーを装着するのがトレンドになっているが、今回発表された技術は、そのもう一歩先を行く。コンチネンタルの発表資料はこちら。
それはどういう仕組みか?
新しいセンサーはタイヤ内部に設けられ、常時タイヤの変形を感知することによって「タイヤの荷重状態」を判定するというもの。トレッド下に埋め込まれたセンサーがトレッドの変形を感知し、それによってタイヤの接地面の大きさを推定するという仕組みだ。タイヤの空気圧は既存の空気圧センサーで測定されているから、そこに接地面サイズの情報が加われば、そのタイヤに掛かっている実荷重が演算できるというわけだ。
その御利益は…
実荷重がリアルタイムに判ると何が良いのか?まず、積載状態が変わった場合に、適正空気圧に調整する目安になる。これは安全面でもエコ性能でも有益。さらに各輪の実荷重が判るということは、ABSやESCをより性格に制御するための情報にもなる。例えばABSの1機能であるEBDは、前後輪のホイールスピードセンサー情報によってブレーキ配分を変えるのだが、実はコレには制約がある。それは通常のEBDは「ブレーキを掛け、減速が始まってからブレーキ配分を加減する」もので、最初からその時の前後荷重に合わせた配分でブレーキを掛けるわけではない。それがこの新しいセンサーを活用すれば、最初から最適なブレーキ配分で制動開始できることになる。これは制動距離短縮におおいに貢献することが期待される。
また従来、ESCは基本的に規定の積載状態(定員乗車)を前提にチューニングされているが、この新型センサーを活用すれば、多様な積載状態に応じた制御も可能になるので、安全性の向上が見込まれる。
オフロードでも活躍しそうだ
オフローダーにとっても御利益はありそうだ。タイヤの実荷重が判るということは、トラコンや可変駆動力配分の電子制御がより緻密できる。例えばこのセンサーによって「接地荷重ゼロ」や「急激な荷重の減少」を判定し、それを加味したブレーキ・トラコンの制御を行えばトラクションコントロールはより効果的になる。今のところ庶民のクルマには空気圧センサーすら付いてないわけだけど、夢は膨らむ。まあ、空気圧チェックはマメにやりましょう。こういう技術が開発されるほど、空気圧というものはクルマの走行性能に大きく影響するものだから。