2013年3月16日土曜日

Lan-car 最強のグラウンドアンカー

Lan-carは僅か9kg、コンパクトに収納できる


 IMPSにLan-carが入荷した。Lan-carというのはオーガ式のグラウンドアンカーで、地面にねじ込むことでアンカーの役目を果たすもの。オーガ式のグラウンドアンカーは路面を問わず設置しやすく、かつ支持力が強いという優れた特徴があるのだが、あまりその仕組みや効能が紹介されてこなかったせいで、オフローダーにはまだあまり知られてない製品だ。
使用時はこのようなカタチ
 私は仕事柄色々なタイプのグラウンドアンカーを使ってきたが、最も信頼しているのがオーガ式のアンカーだ。これまで草木の生えていない荒野や広大な砂地など様々な悪条件下で、オーガ式のアンカーには何度も助けられた。
 ウインチ好きなマニア(とりわけウインチ競技の参加者)はPull-Palなどのディグイン型(スコップ式)アンカーの信奉者が多いが、実はアンカーとしての支持力ではオーガ式の方がやや優れている。ディグイン型でオーガ式と同等の支持力を得ようとすると、そのサイズはかなり巨大なものが必要なのだ。
 ウインチ競技者にディグイン型アンカーが好まれている理由は、アンカー設置がスピーディに行えるから。ディグイン型では、スペード(スコップ状の部分)を地面に刺し、後はウインチで引く力で地面に食い込んでいって支持力を得る。この単純さがスピード重視のウインチ競技で好まれる理由だ。ただしウインチで引くことによってアンカーがうまく食い込んでくれるかどうかは、ある意味運任せなのだ。
 このタイプも過去に何度もテストしたが、多くの場合スペードは地面を浅く引っ掻くばかりで、なかなか潜り込んではくれない。スコップのように足で踏み込んだり、アシスタントが体重を掛けたりして補助しても、路面が固かったり、地中に石の多い状況だとまず役に立たない。また地面に上手く潜ってくれても、アンカーとしての支持力は不十分なことも多い。ヘビーなウインチングでは、スペードが完全に地中に入っていてもなお、ウインチによってアンカーがずるずると引きずられてしまうこともある。
 その点オーガ式は地面にねじ込むという作業に時間は掛かるが、少々石混じりな路面であっても、確実に設置できる。さらにその支持力は非常に大きく、ヘビーなウインチングでもアンカーが引きずられるような事態はまず起きない。
 こう書くと、なんとなく釈然としないな、と思う人もいるだろう。なにせディグイン型は広いスペードの面で地面を捉えるのに対し、オーガ式ではそれほど太くないシャフトで力を受けるのだから、荷重の分散という点でディグイン型が有利だと感じるのも無理ない話。でもオーガ式アンカーが強いことは科学的に証明できる。実は土そのものの物理的な特性に秘密があるのだ。
 ほとんどの場合、土は均質ではない。色々なサイズの粒子(シルトや砂粒、小石)が混ざり合い凝集した状態なのだ。そのためスコップで掘るような外力を加えると凝集している構造(これが支持力の元なのだ)が破壊されて脆くなってしまう。ディグイン型アンカーを引っ張って地面に食い込ませることは、畑を農機で耕すようなものであり、土の支持力を奪ってしまうわけだ。
 これに対し、オーガ式アンカーはシャフト先端のオーガ(スクリュー部分)で土に食い込んでいくので、ほとんど土の構造を破壊せずに地中に埋設される。つまり土の構造強度を損なうことなくアンカーを埋めることができるわけだ。
 さらに詳細な仕組みについてはいずれ改めて解説しようと思うが、論より証拠、当ブログではIMPSさんの協力のもと、実際にLan-carの使い勝手を検証し、その支持力の実測値も計測するというテストを予定しているので、そちらのレポートもお楽しみに。

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