2011年1月3日月曜日

とっても非日常なレスキューシーン! Hägglunds BV206


スタックしてるのはヘグランズ(Hägglunds)BV206。トラックド・アーティキュレーテッド・ヴィークル(装軌式連接駆動車)でアンフィビアン(水陸両用)という、究極のオフロード性能を備えた車両だ。各国で軍・警察・捜索救助用に広く使用されており、日本でもごく少数が電力会社や国交省で保有されている。このBV206はオフロードの走行力学を語る上で格好の素材なのだが、話が長くなるのでそちらは別の機会に。

現場は映画やCMのロケ地として有名なアイスランドで、季節はおそらく氷雪の緩む春先だろう。ムービーに写っている他の車はアークティック・トラック(アイスランド名物というか、氷雪の上を走るため巨大なタイヤを履いた改造車)なので、これはオフロード・ツーリングの1シーンということか。背景に山が迫っているが、BV206が踏み抜いた氷の下は海じゃないだろうか。多分湾のような地形のところをショートカットしようとしたのだろう。海氷は真水の氷より強度が低いし、もともとあまり厚い氷には成長しないので春には割れやすいのだ。
で、このBV206は氷を踏み抜いてプカリと浮いてしまったわけだが、水陸両用のBV206はこういう環境を想定して設計されているので、普通なら割と簡単にレスキューできる。普通というのは遠征の常識でもあるのだが、同じBV206が伴走している場合。BV206は車体中心をピボットにして「折れ曲がる」ことができるので、伴走のBV206に牽引されれば、比較的容易に水面から引き上げることが可能。ただあいにくこの現場は本格的な遠征じゃないので、ここではこの1台以外は4輪駆動車。それで手こずっているというわけ。
トウストラップで牽引し車体後部は氷の上に乗せたが、全部を引き抜くほどの牽引力はない。そこでもう1台が別のトウストラップを掛けて、2台で引っ張るのだが、イマイチ2台のタイミングが合わない。OTCの受講者なら「1台をアンカーにし、スナッチブロックを使ってダブルライン牽引」するところだろうが、彼らはともかく力技でケリをつけたかったようだ。
2台の息が合わないことが怪我の功名というか、偶然2段階牽引のカタチになって車体後部がほとんど氷の上に乗るところまで引き上げた。ただここから先は抵抗が大きくて引っ張れそうもない。ここで冷静な知恵者「レスキュー奉行」が登場。一旦ストラップを緩めてBVを少し水中に戻す。これで「引きしろ」が確保され、最後のトライではBV自体のトラクションも有効活用され無事脱出成功。この引き代を確保するっていうのは、レスキューの現場では割と忘れがちなポイント。深い泥や深雪で駆動輪の前に山ができてしまう状況でトウストラップを使う時に、是非このエピソードを思い出して欲しい。
なおこの動画ではBVの車体から大量の水が放出されているシーンがあるけど、これはビルジポンプ(車内に侵入した水を排出するポンプ)が稼働しているところ。いかにも水陸両用車らしいね。

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