2010年5月6日木曜日

キャプスタンウインチ その1



キャプスタンウインチってご存じですか?いびつなキノコみたいな形状のキャプスタンにロープやワイヤーを巻き付けて使うタイプのウインチです。多分多くの方が、古いランドローバーのフロントに装着された姿をご覧になったことがあると思う。普通の(ドラム式という)ウインチがワイヤーをドラムに巻き取っていく方式なのに対し、キャプスタンウインチではワイヤーは「引っ張るだけで、巻き取りはしない」という仕組みになっている。
何が便利か?というと、ドラム式と違ってリーチ(引っ張ることのできる距離)が自在だということ。ドラム式だとそのドラムに巻けるワイヤーの長さ(30mから45mほど)がリーチを決めてしまうが、キャプスタン式だと長いロープやワイヤーを用意すれば、理屈上はリーチの制約がない。
逆に不便なことは、ドラム式と違ってロープはどこにも固定されていないので、人の手でロープにテンションをかけておかないと、キャプスタン上を滑ってしまって巻き取りできないということがあげられる。つまり作業者がひとりだと、セルフリカバリーには使えないということだ。なんか使いにくそうだなと思うでしょ。でもキャプスタンウインチって、実はいいとこも沢山あるんです。
まずジャム(噛み込み)やキンク(よじれ)でロープやワイヤーを傷めない。キャプスタンウインチでは、ほんの3巻きほどキャプスタンに巻き付けるだけだから、ドラム式のように、巻き込んだワイヤーが下のレイヤーに噛み込むということがない。というか、ドラムに巻くわけじゃないから、その下のレイヤー自体が存在しないわけだから噛まない!ウインチを使う人には、ドラム内でのワイヤーの噛み込みは頭痛の種。いざウインチを使うというときに、ジャムでワイヤーが出ないなんていうのは良くある話。ジャム抜き作業は手間が掛かるし(ちなみに私のスクールではジャム抜きのコツも教えます…宣伝です)、変形したワイヤーはその部分で大幅に強度が低下するもの。
さらにキャプスタンはロープでもワイヤーでも巻ける。基本的にキャプスタンの形状や材質はロープを巻く前提で設計されているものだが、必要とあらばワイヤーもOK。必要な摩擦を得られる巻き数をキャプスタンに巻ける範囲ならロープの太さも問わない。また少々クセのついた(傷んだ)ワイヤーでも使用できる(もちろん非常時の話)のでイザというときに頼りになる。
ロープを使うということからくるメリットもある。ロープの良いところは結んだり繋いだりできること。シャックルの持ち合わせが足りなかったり、引っ張る対象に適切なハードポイントがないときにも、正しいロープワークの知識があれば、工夫次第で引っ張り方には多くのソリューションがあるわけだ。スプライシング(ロープ同士を編んで繋ぐ方法)を習得していれば、あり合わせの短いロープを繋いで、長いロープとして使うことだって可能。さすがに結んだロープのつなぎ目はキャプスタンにうまく通せないが、スプライシングで繋いだものなら、なんとかつなぎ目をキャプスタンに通して巻くことができる。
なんかちょっと面白そうでしょ?キャプスタンウインチの話はもう少し書きますので、次のポストをお楽しみに!

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